初恋の君に真紅の薔薇の花束を・・・
「ジャスティーヌ?」
ロベルトの声が困惑したようなトーンに変わった。
「今は、心から、殿下と妹の幸せを願っております」
一瞬、全ての音が消えたようにあたりが静まりかえった。
ジャスティーヌの言葉に、ロベルトは完全に打ちのめされていた。
まだ、六ヶ月に及ぶ見合いは始まったばかりだというのに、ジャスティーヌは妹の幸せの為に舞台から降りようとしていた。
あの幼い日に出逢って恋に落ちたロベルトを置き去りにして。
「殿下は、先日、アレクサンドラに口付けされたとか。余程のお考えなく、そのような軽率な行動を殿下がとられるとは思えません。だとすれば、既に殿下のお心はアレクサンドラに決められたのだと・・・・・・」
アレクサンドラに嫌われて、アレクサンドラを舞台から降ろすための計画だったのに、事態はロベルトの予定とは真逆に進んでしまっている。
「ジャスティーヌ、それは誤解だ」
ロベルトが弁解して真実を伝えようとした所に、サワサワと庭を進んでくる誰かのドレスが植え込みの草にふれる音がきこえてきた。
「ロベルト?」
呼んでいるのは、公爵夫人だった。
「はい、大伯母様」
ロベルトは返事をすると、ジャスティーヌを支えながら立ち上がった。
「もう、今晩はお開きよ。慣れない舞踏会を開いても、公爵家が如何に廃れているかを知らしめるようなものだわ」
二人の元まで辿り着いた公爵夫人は、ジャスティーヌが泣きはらしているのを見ると、冷ややかな瞳でロベルトの事を見つめた。
「確かに、庭でも散歩なさいと言ったのは私です。でも、レディを泣かせても良いとは言っていません」
公爵夫人はいうと、ジャスティーヌの手を取り肩を抱き寄せた。
「大伯母様、これには訳が・・・・・・」
「訳なら、後でゆっくり聞かせて貰います。レディは、公爵家の馬車でお屋敷までお送りします。ロベルト、あなたは私のサロンで待っていなさい」
ロベルトからジャスティーヌを引き離した公爵夫人は、言葉通りジャスティーヌを公爵家の馬車で屋敷まで送ってくれた。
☆☆☆
ロベルトの声が困惑したようなトーンに変わった。
「今は、心から、殿下と妹の幸せを願っております」
一瞬、全ての音が消えたようにあたりが静まりかえった。
ジャスティーヌの言葉に、ロベルトは完全に打ちのめされていた。
まだ、六ヶ月に及ぶ見合いは始まったばかりだというのに、ジャスティーヌは妹の幸せの為に舞台から降りようとしていた。
あの幼い日に出逢って恋に落ちたロベルトを置き去りにして。
「殿下は、先日、アレクサンドラに口付けされたとか。余程のお考えなく、そのような軽率な行動を殿下がとられるとは思えません。だとすれば、既に殿下のお心はアレクサンドラに決められたのだと・・・・・・」
アレクサンドラに嫌われて、アレクサンドラを舞台から降ろすための計画だったのに、事態はロベルトの予定とは真逆に進んでしまっている。
「ジャスティーヌ、それは誤解だ」
ロベルトが弁解して真実を伝えようとした所に、サワサワと庭を進んでくる誰かのドレスが植え込みの草にふれる音がきこえてきた。
「ロベルト?」
呼んでいるのは、公爵夫人だった。
「はい、大伯母様」
ロベルトは返事をすると、ジャスティーヌを支えながら立ち上がった。
「もう、今晩はお開きよ。慣れない舞踏会を開いても、公爵家が如何に廃れているかを知らしめるようなものだわ」
二人の元まで辿り着いた公爵夫人は、ジャスティーヌが泣きはらしているのを見ると、冷ややかな瞳でロベルトの事を見つめた。
「確かに、庭でも散歩なさいと言ったのは私です。でも、レディを泣かせても良いとは言っていません」
公爵夫人はいうと、ジャスティーヌの手を取り肩を抱き寄せた。
「大伯母様、これには訳が・・・・・・」
「訳なら、後でゆっくり聞かせて貰います。レディは、公爵家の馬車でお屋敷までお送りします。ロベルト、あなたは私のサロンで待っていなさい」
ロベルトからジャスティーヌを引き離した公爵夫人は、言葉通りジャスティーヌを公爵家の馬車で屋敷まで送ってくれた。
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