初恋の君に真紅の薔薇の花束を・・・
家令からザッカローネ公爵家の馬車が近づいてきていることを知らされたルドルフは、慌ててアレクサンドラを自室に戻らせると、ジャスティーヌとサロンで作戦会議を持った。
今日のところは、あの普段着姿の上、よろよろとよろけながら歩く上に、階段を上り下りする姿など、目を覆わんばかりの状態のアレクサンドラに会わせることはできない。更に言うなら、アレクシスにもできないのだから、なんとしてもサロンでアントニウスを足止めし、絶対にどちらにも会わせずに帰ってもらわなくてはならない。
ルドルフは見合いの話で引っ張り、ジャスティーヌは両国間の和平問題で話を引っ張ることに決めると、アントニウスの登場を待った。
しかし、実家を訪ねに出たはずのアリシアがアントニウスと共に帰宅したことにルドルフもジャスティーヌも驚きを隠せなかった。
アリシアから、急に具合が悪くなり、休んでいたらアントニウスが通りかかり、伯爵にお話があると言うので、一緒に戻ってきたという説明に、ルドルフもジャスティーヌも、アントニウスをあの激しい揺れの馬車に載せずに、ザッカローネ公爵家の馬車にちゃっかり乗り込んで帰ってきた母の機転に感心した。
アントニウスはアリシアに話した通り、アレクサンドラの社交界デビューに関わる一切の費用を負担したいと申し出ると同時に、母である、陛下の従妹マリー・ルイーズの名に誓って、もしアレクサンドラに交際を断られたり、結婚の申し込みを断られたとしても、一切この支度金に関わることは他言せず、返済も求めないと誓ったのだった。
その誓いに、話を断ろうとしていたルドルフも考えなおした。そして、『確かに、公爵家のご嫡男とお付き合いするとなれば、それなりの身なりでないと、アントニウス殿にも恥をかかせることになってしまいますから・・・・・・。ありがたく、お話をお受けいたします』と言う他なくなったのだった。
ルドルフの答えを聞くと、アントニウスはアレクサンドラに逢いたいという事もなく、ささやかなもてなしに礼を述べ、伯爵家を後にした。
☆☆☆
今日のところは、あの普段着姿の上、よろよろとよろけながら歩く上に、階段を上り下りする姿など、目を覆わんばかりの状態のアレクサンドラに会わせることはできない。更に言うなら、アレクシスにもできないのだから、なんとしてもサロンでアントニウスを足止めし、絶対にどちらにも会わせずに帰ってもらわなくてはならない。
ルドルフは見合いの話で引っ張り、ジャスティーヌは両国間の和平問題で話を引っ張ることに決めると、アントニウスの登場を待った。
しかし、実家を訪ねに出たはずのアリシアがアントニウスと共に帰宅したことにルドルフもジャスティーヌも驚きを隠せなかった。
アリシアから、急に具合が悪くなり、休んでいたらアントニウスが通りかかり、伯爵にお話があると言うので、一緒に戻ってきたという説明に、ルドルフもジャスティーヌも、アントニウスをあの激しい揺れの馬車に載せずに、ザッカローネ公爵家の馬車にちゃっかり乗り込んで帰ってきた母の機転に感心した。
アントニウスはアリシアに話した通り、アレクサンドラの社交界デビューに関わる一切の費用を負担したいと申し出ると同時に、母である、陛下の従妹マリー・ルイーズの名に誓って、もしアレクサンドラに交際を断られたり、結婚の申し込みを断られたとしても、一切この支度金に関わることは他言せず、返済も求めないと誓ったのだった。
その誓いに、話を断ろうとしていたルドルフも考えなおした。そして、『確かに、公爵家のご嫡男とお付き合いするとなれば、それなりの身なりでないと、アントニウス殿にも恥をかかせることになってしまいますから・・・・・・。ありがたく、お話をお受けいたします』と言う他なくなったのだった。
ルドルフの答えを聞くと、アントニウスはアレクサンドラに逢いたいという事もなく、ささやかなもてなしに礼を述べ、伯爵家を後にした。
☆☆☆