Affection~これがオレの全て~夏ver.
青い実



幼馴染のお前

お前が幼馴染から

1人の女子に変わったのは

あの夏祭りの日


それでなくてもクソ暑いのに

人混みの中

お前は浴衣を着てきた


額からは汗が滲んでた

ちょっとドキッとした


「手ぇ繋ごう?」


お前が言った


「何でやねん!」


照れくさくて

オレは繋げなかった


「もしかして照れてる?」

「アホか!」


図星だ


お前は持ってた団扇で

オレをパシッと叩いた


知ってた?

あの後かなり後悔した


でもお前との

始まりかけた

淡い恋心?


次の年

雨降りしきる祗園祭で

終わった


お前はびしょ濡れの浴衣で


「好きな人できたん?」


泣いて聞いた


「ちゃうねん……」


オレはそれしか言えなかった


あの時オレはうまく説明できなかった


きっとお前は


「彼氏がな?」


そう友達と話す

自分に恋してたんだと思う


オレの中では

そのノリについて行けなかった


心変わりでもなく

恋に憧れてたんでもない


オレはオレで

ホントの恋をした


「成長」


してしまったんだと思う


お前とは

幼馴染以上彼女未満

だった


それからは

お前は一生懸命背伸びをした


オレが年上の女性を好きになったから…


気づけば

互いに別々の道を歩んで行った


あれからオレは大人になった


そして

祗園祭の夏が来るたび

お前のことを思い出すよ


一生懸命だったお前が可愛くて


懐かしくて


ほろ苦い


少し切ない


オレの早春期







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