銀光のbreath 【番外編 追加完了】
「やっぱ帰ってきてよかった。姉さんがまた、オレのいないトコで泣いてる気がしてさ。・・・隠したってすぐバレるに決まってんだろ」

アンタはエスパーなの?
胸ん中でツッコみ、降参して溜息を吐く。

「ちょっとナーバスになっちゃっただけよ。ヤマトは心配しすぎ!」

がっしりと回されてる腕に軽くポンポンして『そろそろ離しなさい』の合図をしながら、小さく笑い飛ばした。

「・・・征一郎兄さんには素直なクセに」

恨みがましい呟きが聞こえ、余計にぎゅっと力が籠もる。
そ。
・・・んなコトない。って言えない自分が情けない。自覚あるもんね。ヤマトには姉さん面できても、征一郎さんの前だと呆気なくそれが剥がれ落ちちゃうって。

だってしょうがないんだよ、ヤマト。
あたしはヤマトに甘えっきりになるワケにいかないんだから。
ヤマトの人生は、あたしとちはるの為にだけあったらダメなんだから。

征一郎さんなら一生。義兄妹だから甘えられる。頼れる。自分にもそれを赦せる。
弱音吐いて泣かせてもらって、由弦の代わりになってもらえる。

けどヤマトはね。
由弦の代わりなんかにはしない。
由弦とあたしの大事な弟を、そんなものには出来ないんだよ。
< 130 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop