銀光のbreath 【番外編 追加完了】
「その征一郎さんがね、金曜から泊まるって電話あったわ。ちはるの争奪戦、ガンバってねー?」

茶化すように話を逸らして、腕の中から抜けだそうとしてみた。ケド。なにを意地になってんだか、ヤマトはあたしを捕まえたまま。

「ちょっと! コーヒーくらい淹れさせなよ、もう」

大袈裟な溜息を吐いて見せる。

「なんで、オレはダメなの?」

「・・・なにが」

一段と低くなった声にも気付かないフリ。・・・またこの話だ。ときどきヤマトとあたしの間で繰り返される、堂々巡りの。

「オレは心配したいんだよ。ぜんぶ見せて欲しいんだよ、ガマンさせたくないんだって・・・!」

「ヤマトが思ってるほど我慢なんかしてないよ・・・?」

「じゃあ隠すな。泣きたいなら泣けって言ってんの。笑うなよ、そうやって!」 

苛立ちに紛れた苦しそうな声を。あたしは今まで何度聞いただろう。
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