銀光のbreath 【番外編 追加完了】
「あたしには、そんな便利な切り替えスイッチはついてないのー。ちはるの母親じゃなくなったら、あたしは無くなっちゃうんだから」

笑って。冗談で押し通す。ヤマトの優しさを、そっと押しのける。

するりと腕が抜かれて。「・・・風呂はいってくる」と、抑揚のない声が聴こえ、背中にあった温もりが遠ざかった。
深く長い息を逃すと、電気ポットで沸かしたお湯を、カップにセットしたドリップ式のフィルターに少しずつ注ぎ入れる。

ゆっくりと染み込んで下に降りてく暗褐色の滴を。じっと見つめる。



三年だ。
三年もヤマトに甘えさせてもらった。

これ以上一緒にいたらあたしは。



ヤマトを手放せなくなる。・・・きっと。




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