銀光のbreath 【番外編 追加完了】
『瑠衣』

目を閉じて。愛おしそうにあたしを呼ぶ声を思い出す。

『俺もお前を愛してる』

抱き締めてくれる腕の力強さと、由弦の温もりを思い出す。

いつだってあんたは、あたしとちはるの傍にいてくれてる。

今だって。空気に溶けて、風になって、べそかいてるあたしの頭を撫でてくれてる。

聴こえないけど、耳許できっと『泣くな』って。

『大丈夫だ』って、優しい目で笑ってる。

・・・・・・ずるいよ、あんたばっかり。

あたしだって会いたいよ。

寂しいよ。

由弦。由弦。由弦。

ねぇ、なんか言ってよ。意地悪しないでよ。

帰ってきてよぉ・・・・・・。



あたしは立ち尽くしたまま、溢れて止まらない涙を拭いもしないで泣いた。
子供みたいに、声を殺さないで泣いた。

どれだけ季節が前に進んでも。ちはるが、どんどん大人になっていっても。
あたしの時間はここから動かないよ・・・・・・、由弦。
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