銀光のbreath 【番外編 追加完了】
3-2
 ちょっとのぼせ気味の熱も冷めた頃。
 部屋での夕食時間になって、海の幸メインのお料理がこれでもかってぐらい座卓の上に並んだ。
 和え物、煮物、焼き物、お造り、鍋。さすがの由弦も、「すげぇな」ってちょっと絶句したくらい。

 配膳に来た年配の仲居さんに、「新婚さんですか」ってニコニコ顔で問われ。

「・・・まあ、そんなもんです」

 無邪気に笑った浴衣姿の由弦。仕事も立場も離れて素でいる時の由弦は、あの頃と変わってないなぁって。見てて微笑ましかった。

 ヤマトや洋秋の前じゃ、“しっかり者の若頭”をガンバってる。
 あたしと居る時はそのままの由弦でいーんだからね?

 洋秋だって。きっと鈴奈さんにしか見せない顔がある。・・・ふと。
 男が還れる場所になれる、そういう女でありたいな。
 由弦を見やり。あたしは祈るように願いごとを包(くる)んで、胸の中に大事に仕舞った。
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