銀光のbreath 【番外編 追加完了】
パーティにかかった費用はご祝儀だって、ウチの両親とおばあちゃんが出してくれた。
洋秋が少し出させてくれって頭を下げたらしいけど、生まれてくる子供の為に使いなさいって、お父さん達は折れなかったそう。
自分の仕事の合間に衣装と会場探しをしてくれたお母さん。
本当に自分の部下に頼んで、あたしの引っ越しを手伝ってくれたお父さん。
いつもはもっと厳しいダメ出しが多いのに、今回いっさい口を挟まず好きなようにさせてくれたおばあちゃん。
盛り上げ役と裏方をきっちりこなしてくれたヤマト。お祝いの心遣いを寄せてくれた人達。
結婚て。特別だなって。ものすごい実感だった。
すごく温かくて大きな力がひとつになって。
誕生日なんかとはキモチも重みもぜんぜん違う。
人生に一度きりじゃなきゃ、みんなに顔向けできやしない。
その覚悟はこれから証明してみせる。
何があったって由弦と生きてく。
ちょっと面倒くさがりで、他人のコトはどうでも。
あたしや洋秋達のコトだけは自分の命より大事な由弦。
いつも澄ましたカッコつけだけど、口先だけじゃない。
好いとこも悪いとこも全部お互いサマ。
どこまでが片恋だったんだか、誰より分かり合えてるあたし達。
『おまえたちも、所帯を持った一人前の大人になったんだ。甘えは赦さないけどね、家族は助け合わなきゃいけないよ』
おばあちゃんが4人の前で締めくくった言葉は、卒業式の先生の言葉みたいで。
“水上瑠衣子の卒業”。
あたしはそれを深く胸に吸い込んだ。
12月25日は。新しい誓いの日。真下瑠衣子が生まれた日。生誕日。
神サマありがとう。あたしに由弦をくれて。
貰ったモノは絶対に返さないし、お礼も無いけど。
大目にみてね。
聖なる夜だから。