月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ジャラールさんとハーキムさんが、目を大きく見開いた。

「クレハ……それをどこで手に入れた?」

「どこって、会社の資料室で……」

「そんなわけないたろう!」

ジャラールさんが、薪を足で蹴った。

火は辺りに散らかる。


「ジャラール様、落ち着いて下さい。偽物かもしれませんし。」

ハーキムさんが、私の前に来た。

「クレハ。その宝石を私に見せてくれ。」

私は恐る恐る、ペンダントをハーキムさんに渡した。

手に取ったハーキムさんは、角度を変えて見ると、表情が歪んだ。


「ハーキム、どうだ?」

「はい……」

ハーキムさんは、偽物とも本物とも言わない。

「ハーキム!」

「はい……」

いつまでも、何も言わないハーキムさんに、ジャラールさんは持っているペンダントを奪った。


「言い伝えの宝石と同じだ。」

ジャラールさんもハーキムさんも、何とも言えない顔をしている。
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