月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
私は、資料室での出来事を思い出した。

「……旅行に来る前に、資料室で下見したでしょう?」

「うんうん、した。」

「その時に、資料室の奥で例の本をみつけたの。」

「ああ、アラビア語で書いてあるって言ってた?」

私は、小さく頷いた。


「帰り際、宝石の付いたペンダントを拾って……。」

「ペンダント……」

その時、枕の端からペンダントのチェーンが見えた。

それを手に取る。

「もしかして、それ?」

「うん。」


これを見た時の、ジャラールさんの顔を思い出す。

これがここにあると言う事は、ジャラールさんの元から、これは無くなってしまったんだろうか。


「これがいつの間にか、スカートの中に入っていて……それで夢を見たの。」

「イケメン二人に、会う夢ね。」

私は頷きながら、すっかりときわのペースに、はまりまくっていた。

「二人は将来の女王になる人を、病から救う為に、この宝石を探して、オアシスまで行く途中だった。」

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