月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
あまりにも突拍子のない提案に、私とときわは顔を合わせた。

「寝るからそんな辛い思いをするんだ。俺、紅葉を絶対に寝せない。」

「光清……」

「だからそんな男の事、忘れろよ!他の女を第一に考えているような奴、紅葉には相応しくない‼」


なんて力強い気持ちなんだろう。

まだ分からないけれど、これが男の人に愛されるって事なんだろうか。

朝からいい匂いがする光清の背中に、そっと腕を回そうとすると、光清の肩の向こうにときわのニヤついた顔が見えた。


「ときわ?」

「ぷぷぷっ。お二人さん、お熱いね。」

途端に光清と二人で恥ずかしくなって、すぐに体を離した。


「あっ、いや、ごめん。つい……」

「ううん。私の方こそ……」

なんだか光清の顔が見れない。


「それにしても、いつまで寝かせないつもり?」

「えっ、ああ……」
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