月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「へ?」

「無防備にも程がある。クレハ殿は、命を粗末にする気か?」

「はあ……」

そんな事言われたって、普段そんな物は被んないし、砂漠だって歩いた事はない。


「だめだ。ジャラール様、このような者、相手にするべきではありません。先を急ぎましょう。」

「まあ、いいではないか。ハーキム。」


なんかよく分からないが、ハーキムって人は、私が普通の洋服で砂漠を歩いていたことに、嫌悪感を抱いているみたい。

いや、私もなんかこの人、好きになれそうにないけど。


「一日でも早く宝石を持ち帰らないと、ネシャート様が……」


ん?

ネシャート?

益々聞いた事がある!


ジャラールにネシャート。

私の頭の中に、資料室で見た本が浮かんだ。


「ああっ‼」

思わず指を指す。

「どうした?」

どこかで聞いた事があるって、この人。







あの本に出てくる主人公だよ!!
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