月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
その質問に対して、ときわは余裕綽々。

「今まで紅葉の話を嘘だって言った事がある?」

「ないかも。」

私とときわは、お互い頷くと向かい合って座った。


そして、あの金閣寺で体験した出来事を、ときわに話した。

「う〜ん。難しいところだね。」

「でしょう?ときわならどうする?」

「私なら迷わず行くよ。」

「だったら……」

私は一筋の希望をかけて、ときわの手を握った。


「でも今回は別。」

「えっ?」

おちゃらけたときわの、珍しい真剣な顔。

「親友となると、話は別。しかも光清が言う通り、今の紅葉は弱っているよ。そんな人を危険にさらすなんて、できない。」


自分はどうなってもいいけど、親友は危険にさらしたくない。

そんなときわがカッコ良く見えた。

「ありがとう、ときわ。でも私、どうしても行かなきゃならない気がするの。」

「紅葉……」

私は、ポケットからあのペンダントを取り出す。
< 151 / 300 >

この作品をシェア

pagetop