月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
PiPiPiPi………

手を伸ばした先には、目覚まし時計。

習慣でそれを止めた。


「……夢?」

窓から見える景色は、何軒も住宅が並ぶ。

そこには、砂漠の"さ"の字もない。

「いやいや、あんなイケメン2度と見れないでしょ!」

私は再び布団の中に戻る。


見れる。

今戻れば、もう一度見れるはず。


そして、だんだん視界が暗くなる。

頭がボーッとしてくる。

もう少しで………


「紅葉!いつまで寝てるの?旅行に遅れるわよ。」

母の声に、私はガバッと体を起こす。

無情にも、イケメンとは引き離されてしまった。

「ああ、もう〜〜」

私はもう一度だけ、布団に倒れこむ。

「紅葉?」

「はいはい、はい!」

私は名残惜しそうに、ベッドから離れ、欠伸をしながら部屋を出た。
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