月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「じゃあ私は、人数合わせで……っ!」

ジャラールさんの人差し指が、私の唇に押し当てられる。

「誰でもよかったわけじゃない。クレハだから、選ばれたんだ。」

ジャラールさんの優しい言葉に、目の前がパーっと広がる。


"あなたが選ばれました"って詐欺があるけれど、ジャラールさんだったら、騙されてもいい。

「ジャラールさん!」

「ん?」

「私、ここに来てよかったって、今思いました‼」

「う、うん?そりゃあ、よかった。」

笑顔のジャラールさんの頭の上には、?マークが飛び交っているけれど気にしない!


「あっ!ところでジャラールさん、ハーキムさんのところに行って、作戦会議するって言ってましたよね。」

「ああ。」

私は、自分の胸を拳でドンっと叩く。

「私も一緒に行って、作戦を考えます。」

「えっ!?クレハが?」

ジャラールさんは、明らかに嫌な顔。

「何で!?今、私の事必要だって言ってたじゃん!」
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