月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
そんな事を考えながら、スーツに着替えた。

荷物を持って、玄関に向かう。

すると階段の下から、母親の声。


「ああ、来た来た。お友だちが迎えに来たわよ。」

「はあ?」

迎えに来るってどんだけよ、と思いながら、母親の視線の先を見ると、思いがけない人物が、玄関に立っていた。


「光清!?」

「おはよ。」

サッと手を上げる光清は、あんな夢を見たせいか、日本のセレブに見えた。

「えっ……なんで………」

「あっ……同じグループだし、ここから一緒に行動したくて…………」

そう言う光清と、なぜか朝から見つめあってしまった。


「モテますな。紅葉さん。」

後ろに立っていた母親が、急に耳元で呟いた。

「ちょっと何聞いてんの‼」

恥ずかしくて、急いで靴を履いた。

「紅葉。私もいるわよ。」

光清の後ろからぬーっと現れたときわ。

一瞬体が、ビクッとなった。

「おつ、あはよう。ときわ。」
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