月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
めちゃくちゃ綺麗な顔。

少しでも笑ってくれれば、こっちも微笑み返せたのに、真剣な表情で私を見るから、引き込まれる。


次の瞬間、スーっとジャラールさんの顔が、近づいてくる。

こ、これは何?

もしかして、キキキス!?

私は、咄嗟に顔を両手で覆った。


するとおでこから、"チュッ"と音がする。


「えっ?」

ゆっくりと腕を離すと、そこにはニヤニヤしているジャラールさんがいた。

「もしかして、キスされると思ったか?」

「!!!!」

声にならない叫び声が出る。

「してもよかったが?」

「いやいやいや‼」

否定した勢いで、起き上がる。

「ジャラールさんには、ネシャートさんがいるでしょう!」

ジャラールさんは、目をパチクリさせる。


「まだそんな事言っているのか。」

「そんな事?」

「ネシャートは妹だって言ったはずだ。」

再び真剣な表情に代わる。
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