月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「おはよう、紅葉。」

手をヒラヒラさせて、ときわは出張当日に、テンション高くなる質だとわかった。


「じゃあ、そろったところで、行きますか!?」

ときわが人の家の玄関の中で、音頭をとる。

「おう‼」

私と光清で、右手の拳を上げる。

三人の中で、いつの間にか始まった気合い注入の儀式。


「行ってらっしゃい!」

母親の気合いの入った挨拶が、尚一層三人の士気を高めた。

「じゃあ、行って来ま〜す。」

呑気な受け答えをして、私は玄関を出た。


「いよいよだね。」

「いよいよだな。」

光清とときわのテンションが、MAXに近づく。

「うん。」

それに連れられて、私のテンションも高まりだす。


「ところで、よく眠れた?」

ときわが、ステップを踏みながら聞いてきた。

「俺、興奮して眠れなかった!」

「そうだよね。紅葉は?」

夢の内容を思い出していた私は、光清とときわの質問に気づいていなかった。
< 21 / 300 >

この作品をシェア

pagetop