月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「いえ。そんな事はございません、父上。」
ジャラールさんが、頭を下げた時だ。
王様はジャラールさんの手を引き、立ち上がらせた。
「ジャラール。もう私の事を父と呼ぶのはよせ。」
「ええ?」
「そなたの本当の父は、隣の国のサマド王だ。サマド王もその事を知っている。以前から、そなたと一緒に暮らしたいと、申し出があったのだ。」
ジャラールさんの目には、涙が溜まっていた。
「父上……今さら、他の方は父と呼べと仰るのですか?それは、あまりにも残酷でございます。」
溢れる涙をジャラールさんが拭うと、王様は急にジャラールさんを抱き寄せた。
「そなたは、私の愛した女の子供。だが、私の血を引いてはおらぬ。その苦しみが、今までそなたを苛んできた事は、私は分かっていたのだ。だが、何も変わらぬ。そなたは、私のただ一人の王子だ。ネシャートと同じように、そなたの幸せを願っている。」
そして王様はジャラールさんを引き離すと、今度は両頬に、自分の手を当てた。
ジャラールさんが、頭を下げた時だ。
王様はジャラールさんの手を引き、立ち上がらせた。
「ジャラール。もう私の事を父と呼ぶのはよせ。」
「ええ?」
「そなたの本当の父は、隣の国のサマド王だ。サマド王もその事を知っている。以前から、そなたと一緒に暮らしたいと、申し出があったのだ。」
ジャラールさんの目には、涙が溜まっていた。
「父上……今さら、他の方は父と呼べと仰るのですか?それは、あまりにも残酷でございます。」
溢れる涙をジャラールさんが拭うと、王様は急にジャラールさんを抱き寄せた。
「そなたは、私の愛した女の子供。だが、私の血を引いてはおらぬ。その苦しみが、今までそなたを苛んできた事は、私は分かっていたのだ。だが、何も変わらぬ。そなたは、私のただ一人の王子だ。ネシャートと同じように、そなたの幸せを願っている。」
そして王様はジャラールさんを引き離すと、今度は両頬に、自分の手を当てた。