月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
うん。

二人が被っているターバンに比べれば、布は薄いけれど、それでもないよりはマシだ。

いくらか日射しが和らぐ。

「似合うな。」

「そうですか?」

ピンクのショールなんて、女の子っぽい物。

私に似合うなんて、ちょっと照れ臭い。


「ハーキム。今日はあの宮殿の跡地で、宿をとろう。」

「はい。ジャラール様。」

私を乗せたハーキムさんの駱駝は、ジャラールさんの駱駝を追いかけて、走り出した。

「ねえ、ハーキムさん。」

「なんだ。」

「ジャラールさんとハーキムさんって、どちらが歳上なんですか?」

「歳?私の方が上だが?」

そりゃそうだな、と思いながら聞いてみてよかった。

ハーキムさんは意外と質問には、真面目に答えてくれる人みたいだ。


「じゃあ、このショールは誰の物なんですか?」

ハーキムさんは、何故か黙りっぱなし。

「女性物ですよね。ハーキムさんはさっき、『そのような大事な物を。』って言ってましたよね。」
< 28 / 300 >

この作品をシェア

pagetop