月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
胸が苦しい。
理不尽。
それがまかり通る世界。
でも唯一の救いは、お父さんがジャラールさんを殺さなかった事。
ー 愛した人の子供 ー
と言う理由で。
「その後は?ジャラールさんは、妹さんが一人いるって言ってたけど……」
それを言ったら、ハーキムさんは、口を閉ざしてしまった。
「ハーキムさん?」
「……ジャラール様は、妹君をなんと仰っていた?」
「えっ?ああ……確か母親が違うって。」
「そうか……」
そしてまた沈黙が流れる。
隣でパチパチ言っている焚き火が、その沈黙を軽くしてくれた。
「うまくいかなかったの?ジャラールさんのお父さんと、お母さん。」
私は側にあった小枝で、焚き火の中にある燃えている木を動かした。
「母親が違うって事は、他の奥さんもいるって事でしょう?」
動かした木は、火から少しだけ離れて、点いていた火も少しずつ小さくなっていった。
理不尽。
それがまかり通る世界。
でも唯一の救いは、お父さんがジャラールさんを殺さなかった事。
ー 愛した人の子供 ー
と言う理由で。
「その後は?ジャラールさんは、妹さんが一人いるって言ってたけど……」
それを言ったら、ハーキムさんは、口を閉ざしてしまった。
「ハーキムさん?」
「……ジャラール様は、妹君をなんと仰っていた?」
「えっ?ああ……確か母親が違うって。」
「そうか……」
そしてまた沈黙が流れる。
隣でパチパチ言っている焚き火が、その沈黙を軽くしてくれた。
「うまくいかなかったの?ジャラールさんのお父さんと、お母さん。」
私は側にあった小枝で、焚き火の中にある燃えている木を動かした。
「母親が違うって事は、他の奥さんもいるって事でしょう?」
動かした木は、火から少しだけ離れて、点いていた火も少しずつ小さくなっていった。