月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「その女性はお妃様の妹君で、お妃様の面影を色濃く残していた。王もその方のお陰で立ち直れた。そして産まれたのが、ネシャート様だ。」

「ネシャート様?」

「ああ。ネシャート様は母親違いの妹君である上に、母君同士が姉妹という事から、従兄弟でもある。」


ネシャート。

ジャラールさんと同じように、本に出てくる主人公の一人。

でも確か本の中では、ジャラールさんが宝石をネシャートさんに届けて、ハッピーエンドになるんじゃなかったっけ?

兄妹で従兄妹同士って、結ばれる要素0じゃん。


ん?待てよ。

もしかして禁断?

結ばれないのに、愛し合っちゃうとか?

美少年王子とお姫様の禁断ラブ。

やばっ!


「おい。話を聞いているか?」

「あっ、はい。」

ハーキムさんに悟られてはまずい妄想を、頭の中から取り払う。

「なぜ俺がこの話をしたかと言うとだな。」
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