月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「あっ、源君!」

ルックスのいい光清は、隙を見せるとあっと言う間に、会社の女子に囲まれる。

一緒にいたはずの私は、その輪の中から弾き飛ばされた。

輪の中から、光清が"ごめん"と手を合わせている。


しょーがない。

女子達が落ち着くまで、他を探索するか。


私は、ため息つきながら、元来た道を戻った。

本棚の端に着いて、周りをキョロキョロする。

左側から来たから、右側に行くか。


右に曲がって、隣の本棚を見て回った。

そこには、小説や物語の本が、たくさん置いてあった。

「こっちの方が、面白そう。」

ちょっとワクワクしながら、一つ一つ本のタイトルを見ていた。

それだけでも、どんな物語なのか想像できて楽しい。


そして、丁度本棚の真ん中に来た時だ。

アラビア語で書かれている本を見つけた。

「なんて読むんだろう。」

恐る恐るその本を手にし、表紙を開いてみた。
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