月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
何が急に"俺"よ。

ジャラールさんの前では、私〜とか言ってるくせに。

「ジャラール様とお近づきになるな。」

「は?」

テレビでしか聞いた事がない単語が、宙を舞う。


「どういう事ですか?」

「必要以上に、ジャラール様と仲良くなるなと、申しているのだ。」

その言葉に、私は絶句。

私、そんなにジャラールさんと仲良かった?


「……何か不都合な事でもあるんですか?」

別にカッコいいとは思うけれど、ジャラールさんと仲良くして、なんか気にくわない事でも?


「ジャラール様は、王族の人間だ。そなたのような一般人が気安く言葉を交わせるお方ではない。無論、ジャラール様に気持ちを寄せたところで……」

「待った‼」

私はハーキムさんの目の前に、右手を差し出した。


「私は……ジャラールさんの事、本気で好きじゃないよ。」

それを聞いて、ハーキムさんは眉をピクリと動かす。

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