月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「なんとか京都の本、持って来れたよ。これで調べよう、紅葉。って、何?その本?」

「ああ……」

私はチラッと、主人公二人が結ばれるイラストを見た。


ジャラールとネシャート。


アラビア語はわからないはずなのに、それだけは読めた。

「紅葉?」

「うん。旅のお話だったみたい。」

「へえ。」

私は本棚も見ずに、その本を押し込もうとした。

するとカシャーンと、何かが落ちた音がした。

「あちゃー。」

床を見ると、それは本ではなくペンダントらしき物。

しかも綺麗な緑色の石が付いていた。


「えっ、どこから落ちたんだろ。」

拾って辺りを見回したけれど、そこは資料室の本棚。

思い当たる場所は、見つからない。

「紅葉?」

光清に呼ばれ、ハッとする。

「今行く。」

私はそのペンダントをスカートのポケットに入れ、光清の元に戻った。









そしてこのペンダントが、全ての始まりだった。
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