月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「みんな〜こっちよ〜〜」

神崎部長の元、京都駅を出てバスに乗り込む。

駅の近くにバスは停車。

直線だと言うのに、私はこっちへふらふら、あっちへふらふら。

「紅葉、こっち。」

その度に、光清が連れ戻してくれる。

「紅葉は、光清がいないと真っ直ぐも歩けないのか。」

ときわが、呆れながら言う。

「そんなんじゃないよ。」

光清が照れながら答えるが、私にとっては一大事。


えっ?何?

私、こんなにも並行バランスのない人だった?

ヤバイでしょ。

真っ直ぐ歩けないって。


「紅葉、バス乗れる?」

「そりゃ乗れますよ。」

「今のあんたには、信憑性がない。」

うう〜〜

たくっ。

ときわは口が悪いんだから。


そうは言っても、言い返せない。

実際、バスの乗り口の階段、一段上がる度に体はふらふら。

「ゆっくりでいいよ、紅葉。」

光清に後ろから、支えてもらう始末。
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