月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「言ったな〜〜」

光清の背中をポカポカ叩きながら、光清のその一言が、私の頭から離れない。

ちょっとでも気を抜くと、ボーッとする。


まるで寝不足の時の、授業中みたい。

私、眠いの?

寝不足?


すると光清が、私の背中にそっと、手を置いてくれた。

「大丈夫だよ。また倒れるような事があったら、俺が支えるって。」

「光清……」

すると光清は、照れながら私の二、三歩前を歩いた。

「何言ってるんだろうな、俺。」

頭をかきながら歩く姿は、光清らしい。

でも……


『何かあったら、私がクレハを守る。』


ジャラールさんの言葉を思い出して、胸が切なくなる。

「紅葉?」

やばい。

光清が見ている。

「ごめん。」

私は光清に顔を見られないように、少し背中を向けた。

「俺こそごめん。なんか俺変な事言ったから、紅葉元気無くすし。」

「そんな事ない!」

私は振り返って、光清を見つめた。
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