月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「変な事なんて言ってないよ!私、嬉しかったもん。」

「え……」

光清の顔が茹でタコみたいに、真っ赤に染まった。

「あっ、うん。わかった。頑張る。」

そう言うと光清は、茹でタコのまま、門の中に入って行った。


ここまできたら、いくら鈍感の私だって分かる。

光清が、私の事。

好きなんじゃないかって。


私は空を見上げた。

ジャラールさんやハーキムさんがいる場所は、本当に私の夢の中?

もし本当に存在する人なら、この空の向こうに、ジャラールさん達がいるって、思っていいのかな。


「紅葉。またボーッとしてる。」

「ときわ!」

男子に囲まれたときわが、前を歩く私に追い付いてきた。

「何よ。空を見上げながらため息なんてついちゃって。恋患い?」

「ん?……」

「そっかそっか。紅葉にも春がきたのね〜」

ときわはお母さんみたいに、私の肩を叩く。

「で?光清にはなんて告白されたの?」
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