月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「……ありがとう。」

光清が笑ってくれると、私もほっとする。

やっば、大事なのは笑顔だね。

私も笑顔でいられるように、頑張ろう!


「そうだ。紅葉、音羽の滝に行こうよ。」

「うん。行こう。」

光清と二人、本堂の脇の下にある滝を目指す。


「ひゃあ〜人がいっぱいいるね。」

そりゃ私達の会社以外にも、来ている人達はたくさんいるし、他にも観光客とかいるし。

「これは、相当な時間、並ばないとね。」

「うん。」

光清は、私の後ろに並んだ。

「眠くなったら言って。俺、後ろで支えておくから。」

「ははは!」

もう笑うしかないわ。

こんなに人がいる前で、眠くて倒れるなんて。


でも光清が言った事が、現実になる。

目の前がボーッとして、歩く度にフラフラする。

「わっ!紅葉!」

意識を失う寸前に、光清が後ろで押さえてくれた。

そして、私の顔を覗き込む人達。

その向こう側には………



「ジャラールさん?……」
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