月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
「本の内容?」

「そう!知り合いに翻訳して貰ったんでしょ?どんな話か教えてよ。」

「知らん。」

「はあ?」

光清とときわの話を真横で聞きながら、改めて光清に見とれてしまった。


洗いざらしの黒髪。

前髪が目にかかって、ミステリアスさ倍増だし。

長身の細身の体を覆う浴衣から、ちらっと見える筋肉が、ほどよい色気を放っている。

これをクラスの女子が見たら、誰か寝込みを襲う人が現れてもおかしくはない。


そんな事考えてたら、光清と目が合った。

ドキンとして、後ろに下がったけれど、光清はそんな私をまるでいないかのように無視。

「ところで光清。やたら色気が垂れ流しされてるんだけど。」

「別にいつもと同じだし。」

ときわのナイスコメントにも、素っ気ない返事。


そんな時だ。

遠くから女の子のキャーっと、黄色い声が。

「あの人、カッコいい‼」

「鼻血出そう‼」
< 91 / 300 >

この作品をシェア

pagetop