手をつなごう
光の下
バイトへ行く時間だ。資料と参考書の入ったトートバッグを持って、図書館を後にする。
広いキャンパス内は、入ったときは移動が大変だったけれど、慣れてきた今では移動時間も計算して動くことが出来るようになった。
「あれ悠人先輩じゃない?」
「本当だ、今日も爽やか」
少し前を歩いていた女子たちが話しているのが聞こえた。その視線の先を私も辿ってみると、グラウンドに一人残ってボールと向き合っている男子がいた。
この前あったスポーツ大会で、少し話すようになった先輩だ。
「あ、柏梨田」
「こんにち……こんばんは」