手をつなごう

視線を感じて、隣を見た。
綺麗なこげ茶の瞳と目が合った。

「って、近っ!」

「あ、すみません。ここ俺の定位置で」

にこ、と笑った顔が離れていく。一年生ほどフレッシュな感じはしないけど、同期かな? 入学式に顔を合わせた以来、交流のない学科とは疎遠になっていくので、同期でも全然知らない人は結構いる。

彼は何故かこちらを見ていた。なかなかハンサムな顔立ちをしている。

「あたし、移動した方が?」

「いや別に。もうすぐ友達も来るし」

「あたしも友達来るから、移動するね」

タメ語で良いか、と思うのは、この時期大学にいる最高学年は三年だから。
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