手をつなごう

「もう亡くなってるので話すことも出来ないから、自分のルーツを知りたいという気持ちもあって」

それでも少し照れたように話す彼が少し羨ましく思った。

「あ、亜須美! フォー呼ばれてるよ、てか向こうに席取ったから!」

「え? そうなの? じゃあ、話ありがとう」

里沙が何故か慌ててあたしの腕を掴んだ。
お礼を言えば、彼はひらひらと手を振っている。

あたしはトレイを持って、里沙が取ってくれた少し離れた席に座った。

「……あたし、何かした? すごい見られてる気がする」

「そりゃああんた、あの有名な大くんと話してれば」

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