手をつなごう
大くんって、さっきの彼?
「有名なの、あの人」
「去年の学際めっちゃ盛り上げて有名だし、それ以前に格好良いでしょう。あそこら辺の席はあのグループがよく座ってて、皆近づかないの」
「そうなんだ……」
勿論、知らなかった。知らなかったとはいえ、ぐいぐい話を聞いてしまった。
ちら、とさっきの席を見れば彼の友人が二人傍に座っている。
一人暮らしにとって学食はとても優しいものだけれど、もうここは使わないようにしよう。
人生最期に食べる美味しいフォーを啜ってそう決めた。
変に目立つのは嫌だ。
「そういえば、新しいバイト……」