手をつなごう
入学式に出たのがついこの前のような気がしてならないのに。
「アイスコーヒーが飲みたい気がします」
「それ俺も思ってました」
「乙樹、授業ないの?」
「ゼミ顔出してきたから今日は終了」
よし、と立ち上がるタイミングすら同じ。四年も一緒に居ると、自然と似てくるものなのかも。
わたしたちは思い切って7号館を出て、太陽の下へと飛び込む。
蝉はまだ鳴いていない。青空に浮かぶ雲が立体的だ。
「ソーダの色だ……」
「澪ってたまに絵本の中の住人みたいなこと言う」
くつくつと笑ってわたしを追い抜いて行く。