手をつなごう
「信じてくれないと思うんですが、わたしは小さいときすごい病弱だったんだよ」
「とても信じられない」
「本ばっかり読んでいた子供だったんだ……」
「それは想像できる」
乙樹がくるりと振り向く。できるらしい。
「少しでも多くの物語が読めるように、沢山の語学を学びたくて英米語学科に入ったんでしょ」
首を傾げる。
ちょっと、待って。
「それ、乙樹に言ったことあったっけ?」
入りたてのときにそれを友人に話したら「子供みたいで可愛い」と笑われたので、封印していた。
何故それを知っているのだろう。