手をつなごう

「信じてくれないと思うんですが、わたしは小さいときすごい病弱だったんだよ」

「とても信じられない」

「本ばっかり読んでいた子供だったんだ……」

「それは想像できる」

乙樹がくるりと振り向く。できるらしい。

「少しでも多くの物語が読めるように、沢山の語学を学びたくて英米語学科に入ったんでしょ」

首を傾げる。
ちょっと、待って。

「それ、乙樹に言ったことあったっけ?」

入りたてのときにそれを友人に話したら「子供みたいで可愛い」と笑われたので、封印していた。
何故それを知っているのだろう。

< 17 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop