手をつなごう
というよりも、金髪の外国人と話している日本人が乙樹だった。
「それは、初耳」
「わたしも初めて言った。図書館でちゃんと見て、あのときの人だって重なったけど」
これは言わないけれど、少し感動も覚えた。
正門の方へ歩いていく途中に人工芝のグラウンドと、アジアン食堂がある。
「あ、柏梨田さんだ」
古本バイトが同じ一年生の子に手を振ると、小さく会釈がかえってきた。いつもは駆け寄ってくるけれど、隣に乙樹がいたから遠慮したのかもしれない。
それ程高くもないヒールをかつかつと鳴らして、道を歩く。これから美味しいアイスコーヒーを探して三千里だ。