手をつなごう
足音がしていつの間にか先輩が並んで歩いていた。
「練習、もう良いんですか?」
「1号館に用がある」
それならあっちから行った方が早いのに。とは思ったけれど、先輩の隣を歩けるのが嬉しくて野暮なことは口にしない。
「先輩って1年のとき、留学行きました?」
「ああ……柏梨田って英米語学科か」
「はい。今年はまだ考えてなくて」
自分のお金で行きたいと思っているので、行けるとしても来年だ。
同じ学科の先輩を参考にしたいと思って聞いてみたけれど、やっぱり先輩は行ってたらしい。
「って言っても、学校のじゃなくて自分で探してきたやつ」
苦笑しながら話す。