手をつなごう
肩を竦めて微笑んでみれば、先輩は少し口を開けている。
スポーツ大会で知り合ったときにヘミングウェイが好きだという話をしてくれたので、全部読もうと決めた。
ちょっとストーカーっぽかったかな。
「……呆れて声も出ない、ですか?」
「いや、なんか、あの」
急に口を押さえてそっぽを向いてしまう。
心做しか耳が紅いような。まさか怒ってるとか、ここで怒らせるのか私は。
「ああすみません、気持ち悪いですよね」
「違う、そうじゃない」
ぱっとこちらを向いて、手が降ろされた。
「……まさか覚えてるとは思わなくて、照れた」
光の下で、先輩がはにかんでいた。