桜の花が咲くまでは
完成したお守りは自分が作ったとは思えないくらいの出来栄えだった。これなら大地に渡せる。
合格、必勝、大丈夫……
表の刺繍はいろいろと考えて悩んだ結果、一輪の桜の花を描いた。
込めた思いは桜咲け。
…ちなみに私の名前は桜だ。正直めちゃくちゃ恥ずかしい。
思いついた時は、「さすがに、無い無い」と選択肢から外したが、一度お守りに重ねて桜の花を想像してみたら、かなり素敵に見えてしまった。他のどんな文字をイメージしても、私の「待ってるよ」の思いには桃色の5枚の花びらのほうがふさわしく思えた。
悩みに悩み、さらに悩みに悩んで覚悟を決め、私は桜の花のイラストを集めて何種類かの桃色の糸を購入した。
多分文字の刺繍よりも難しくなってしまったと思う。しかしインターネットの情報にも頼りながら仕上げた桜の花は予想よりもずっとそれらしくて可愛らしかった。
かなり満足している。