桜の花が咲くまでは
で、まずはメールだ。
お守りを郵便で送るのと一緒に手紙を書こうかとも思ったが、手紙を送れば返事も手紙でないといけないと気を遣わせてしまいそうなのでやめた。気持ちは伝えたいけど、大地に必要以上の時間を取らせるのは本意じゃない。
大地
お久しぶり。毎日お疲れ様です。
体調崩してないかな。
突然メールしてごめんね。伝えたいことがあったの。
私、大地のことを待っててもいいかな。
何も力にはなれないけど、応援したい。声に出して大地頑張って、って伝えたい。
風邪ひいてないかなって、辛くて泣いてないかなって心配したい。
待っててって言われてないけど、私は待っていたいです。
大地の目標が叶った日に、よく頑張ったねって抱きしめたい。
大地に迷惑かけたくないから、煩わしかったら言ってほしい。
応援してます。
大好きです。 桜
最後の一回、目を通す。
正直なところ、自分でも何を伝えたいのかあまりよく分からないのだけど、これが私の気持ちだった。応援したいっていう気持ちを知ってほしい。私が待ってるって思ってほしい。
私は浪人の経験がないからどんな言葉が負担になるのか分からない。もっと当たり障りのないメッセージの方がいいかも、とも考えた。だけど、やっぱり伝えたいことをただ書いた。
……誰かを大切に想う気持ちが、相手の負担になることなんて案外ない、本当の意味では
そう言い切ったあの人の言葉に何度も背中を押してもらった。
「よし、送信っと」
むくむくと湧き上がってくる不安な気持ちを無理やり押し込んで、最近おざなりだった講義の復習に手をつけた。