替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




「はぁ~…」



頭からすっぽりと毛布をかぶり、私は小さな溜め息を吐いた。



宿屋に帰って来てからも、さっきのことが気になって、全然落ち着けなかった。
当のフェルナンさんは、何事もなかったかのような顔をしている。
ってことは、さっきのキスは特に意味はないってこと?



その後、フェルナンさんは何も言わなかった。
好きだともなんとも…
でも、私をみつめるあの瞳には、愛がこもってたようにも思えたのだけど、それは、私の自惚れ…?



あぁ、わからない…
わからなさすぎて、もやもやする。



「眠れないのか?」

「え?あ、まぁ、その…」



私が起きてることに、マリウスさんが気が付いたようだ。



「ちょっと待ってろ。」

そう言うと、マリウスさんはベッドから立ち上がり…



「これを少し飲むと良い。」

マリウスさんが私にくれたのは、小さな瓶だった。



「あ、ありがとうございます。」

蓋を開けると、アルコールのにおいがした。
私はそれをぐいとあおった。



しばらくすると、私はいつの間にか夢の世界に旅立っていた。
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