替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
再会
*
「サキ…少し休んで行こう。」
私は黙ったまま、小さく頷いた。
あの日から十日程の時が流れた。
だけど、私はまだフェルナンさんに捨てられたことから立ち直れていなかった。
マリウスさんは何度も言った。
「フェルナンは、あんたのことを想うからこそ離れたんだ。」
確かに、そうかもしれない…
でも、私にはやっぱり捨てられたという感覚が強かった。
私の運命だってもうどうでも良い。
そんな風に自棄になるほど、私の心は荒んでいた。
「親友の住む町までは、もう少しだ。
夕方には着くと思う。」
「はい。」
「町に着いたら、しばらくゆっくりしよう。
最近は強行軍だったから、疲れただろう?」
私は小さく頷いた。
疲れてるのかどうかもよくわからなかった。
フェルナンさんがいなくなってから、いろんな感覚が鈍くなってる。
夜になると、フェルナンさんのことばかり考えてしまって、毎晩、毛布の中ですすり泣いている。
マリウスさんに惹かれたこともあったけど…
やっぱり、私が好きなのはフェルナンさんだったんだって、痛い程、思い知らされた。
でも、もう会えることはない。
この世界には、連絡を取る手段はないんだから。
フェルナンさんが今どこにいるかなんて、砂漠で落としたコンタクトレンズを探すようなものだ。
それだけじゃない。
フェルナンさんが、追っ手に捕まってどうにかされないかと、酷く心配だった。
「サキ…少し休んで行こう。」
私は黙ったまま、小さく頷いた。
あの日から十日程の時が流れた。
だけど、私はまだフェルナンさんに捨てられたことから立ち直れていなかった。
マリウスさんは何度も言った。
「フェルナンは、あんたのことを想うからこそ離れたんだ。」
確かに、そうかもしれない…
でも、私にはやっぱり捨てられたという感覚が強かった。
私の運命だってもうどうでも良い。
そんな風に自棄になるほど、私の心は荒んでいた。
「親友の住む町までは、もう少しだ。
夕方には着くと思う。」
「はい。」
「町に着いたら、しばらくゆっくりしよう。
最近は強行軍だったから、疲れただろう?」
私は小さく頷いた。
疲れてるのかどうかもよくわからなかった。
フェルナンさんがいなくなってから、いろんな感覚が鈍くなってる。
夜になると、フェルナンさんのことばかり考えてしまって、毎晩、毛布の中ですすり泣いている。
マリウスさんに惹かれたこともあったけど…
やっぱり、私が好きなのはフェルナンさんだったんだって、痛い程、思い知らされた。
でも、もう会えることはない。
この世界には、連絡を取る手段はないんだから。
フェルナンさんが今どこにいるかなんて、砂漠で落としたコンタクトレンズを探すようなものだ。
それだけじゃない。
フェルナンさんが、追っ手に捕まってどうにかされないかと、酷く心配だった。