替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
関所には、十数名の行列が出来ていた。
ここもやはり名前と年齢を言うだけみたいだ。



「次の者。
名と年を申せ。」

少し並んでたら、私達の番になった。
先にマリウスさんが名前を言って、次に私が言おうとしたところ、関所にいた高齢の番人が驚いたような顔をして、別の番人の耳に何事かを囁いた。
すると、その番人も驚いた顔になり、二人の視線はずっと私に釘付けになった。



(なに?何かあったの?)



私の心に、不安がどんどん広がった。



「何か問題でもありましたか?」

マリウスさんも異変に気付いたようで、私の知りたかったことを番人に訊ねてくれた。



「とにかくちょっと一緒に来て下さい。」

番人は、私の腕を痛いくらいの力で掴んだ。



「理由を聞かせて下さい!」

「そなたには関係のないこと。」

「そうはいきません!俺も一緒に行きます!」

マリウスさんがついて来てくれたことで少しは安心出来たけど…
でも、連れて行かれる理由がわからず、私は不安でたまらなかった。
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