替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「シャルア様にお取次ぎを。」

「はい。」



女性はある扉の前で立ち止まった。
シャルア様って、一体誰なんだろう…?



しばらくして扉が開き部屋に通され、さらにその先の扉の前に着いた時…



「そなたはここで待たれよ。」

女性は、マリウスさんにそう言った。



次の扉が開いた。
私がマリウスさんを振り返ると、マリウスさんはゆっくりと頷いた。
私も同じように頷き返す。



(ここでじたばたしても仕方ないよね。
マリウスさんはここにいてくれるんだし…うん、きっと大丈夫…)



私はそんな風に自分に言い聞かせた。



部屋の中にはベッドがあり、薄い布の天蓋がかけられていた。



「シャルア様…」

「サンドラ…なにかあったのですか?」

「シャキア様をお連れしました。」

「な、なんですって?」



侍女が天蓋を開いた。
そこに横たわっている人を見て、私は思わず声を上げそうになった。



似てる…
私より痩せているけど、私より上品な雰囲気だけど…その人は私にとても良く似ていた。



「シャキア…会いたかったわ…とても……」

白い、か細い指…
腕には青い宝石の付いたバングルが輝いている。
その手が私に向かって差し伸べられて…



この光景には記憶があった。
……そうだ!夢で見たんだ。
そう気付いたら、総毛立つような感覚を覚えた。
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