替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「シャキア……」

躊躇いながらも、私はその手を握った。
見た目通り、細くて力のない冷たい手だった。



「ありがとう、来てくれて…」

「あ…あの…一体、どういうことですか?
シャキアっていうのは…?」

「……まさか…何も訊かずに来られたのですか?」

「は、はい……?」



その人の目が一瞬大きくなった。
少ない会話ではあるけれど、今の話から、私をこの世界に呼んだのはこの人だろうと推測した。



「私は、この国の王女・シャルアです。
そして、あなたは私の妹・シャキア…」

「い、妹!?」

「はい、私とあなたは双子として生まれました。
しかし、この世界では女の子の双子は不幸をもたらすとされており、悲しいことですが、あなたは生まれてすぐに異界に飛ばされたのです。」



異界に飛ばされた…?
じゃあ、ここが私の故郷で、両親は私の本当の親じゃなかったってこと?



「わ、私の本当の両親は…」

「リゴレットの国王と、その側室・二ルジェです。」



側室の娘とはいえ、私が王女…?
そんな馬鹿な……
混乱が大きすぎて、鼓動が速く息苦しい。
落ち着かなきゃ…こんな時こそ、落ち着いて考えなきゃ…
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