替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「あ、あの…どうして私が呼ばれたんですか?」

「それは……」

シャルアさんは、哀しそうな顔をして口ごもった。
きっと言いにくいことなんだろう。
でも、私もそれを知らないでいるわけにはいかない。



「教えて下さい!」

私がそう言うと、シャルアさんは小さく頷いた。



「大巫女アーリアの神託により、ヴァリアン王国の王子との婚姻が決まったのです。」

大巫女アーリア…!
聞いたことがある。
ガザンは、大巫女アーリアの命に背いたから、滅んでしまったんだよね。
この世界では、大巫女アーリアの神託は絶対的なものなんだよね。



「それはおめでとうございます。
でも、そのことと私にどんな関係が?」

「私は見ての通り、酷く体が弱っています。
もう起き上がることもままなりませんから、婚姻の儀にさえも出られないのです。
しかし、我が国を滅びさせるわけにはいきません。
ですから、あなたを呼んだのです。
私の代わりに、ヴァリアンの王子と結婚していただくために…」

「え……」



アーリアの命に背くことも、国を滅びさせるわけにもいかないから、私を呼んだ…?



双子は不吉だからって、私を異界に送り込んで…
そして、用事が出来たから呼び戻した…?



「か、勝手なこと、言わないで!」



私は、自分でも驚くような大きな声で叫んでいた。
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