替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「あなたが怒られるのは当然のことです。
ですが、そうでもしないと、この国は滅びてしまうのです。」

「そんなこと、私には関係ありません!
それに、少し延期して、あなたが元気になってからご結婚すれば良いじゃないですか!」

「私の体は毒に冒されています。
医師にももう治しようがないと言われています。
私に残された時間は、それほど長くはないのです。」

「えっ!?」



確かに具合は悪そうだけど…
それって、一時的なことじゃなくて、毒にやられてるの?
しかも、治しようがない…?



「シャキア…あなたがお怒りになるのは当然のことですが、どうか、私達の国を…民を護って下さい。
救えるのはあなたしかいないのです。
あなたの怒りは、私にぶつけて下さい。
殴るも、殺すもあなたの自由になさってけっこうです。
ですが、この国だけは…どうかこの国だけは護っていただきたいのです。」

シャルアさんは涙を浮かべ、私に懇願した。



明日をも知れない体だというのに、どうして国や民のことをこんなに考えられるんだろう?



『紗季…運命を受け入れるんだ。』



お父さんの言葉が頭をかすめた。



(これが私の運命なの…?)



国を救うという重過ぎる使命に、私の体は小さく震えた。
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