替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




時は瞬く間に流れた。
この四日程、本当に落ち着かなかった。
サンドラさんも忙しそうだったし、緊迫した気配が伝わって、私はなかなか眠ることが出来なかった。



昨夜、サンドラさんが、明日決行だと話していった。
シャルアさんの侍女がシャルアさんにばけて、馬車に乗り込むことになっているらしい。
当のシャルアさんは…



(えっ!?)



居間の鏡が急に輝きだして…



「わっ!」

そこから、シャルアさんを抱きかかえるようにして、サンドラさんが現れた。
私も驚きから覚める間もなく、すぐにサンドラさんの逆にまわり、シャルアさんに肩を貸した。



「シャルア様を寝室へ。」

「はいっ!」

シャルアさんは私達に引きずられるようにして、寝室に向かった。







「シャルア様…大丈夫ですか?」

「はい…面倒をかけました。」



シャルアさんは、息遣いも荒く、ずいぶんと疲れた様子だった。
たったこれだけの距離でも、シャルアさんにとっては堪えるんだ…
改めて、シャルアさんの体調の悪さを知ってしまい、何とも言えない気持ちになった。



「うまくいったのですか?」

「はい、レベッカももう馬車に乗り込みましたし、心配はないでしょう。」

レベッカさんというのは、シャルアさんの侍女の名前だ。
馬車にさえ乗り込めば、あとはきっと問題ないだろう。
私もようやくほっとした。
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